下肢痛の鑑別に血管性の病気が重要であることは間違いありません。
昨今災害時のエコノミー症候群で有名になったこともあり、下肢の
深部静脈血栓症(DVT)が広く認知されるようになりました。
どんな人がなりやすいか?
加齢、癌、一部の膠原病、喫煙、手術や外傷、長期臥床、肥満
などがあげられます。
症状は下肢においては痛みや、むくみなどがあげられますが、無症状の方も
多いようです。しかし放置しますと一部の方は肺塞栓症を引き起こすことも
あり診断は重要です。症状は筋筋膜性疼痛にも類似し紛らわしいです。
下肢の場合エコー検査、Dーダイマーなどの血液検査またCTなどが
行われます。結果により精密検査が必要になります。
ここでエコーで見れば簡単だろうと思われがちですが似て非なる
もやもやエコーという健常者でも見られる紛らわしい所見があります。
次はふくらはぎ痛の方の所見です。圧痛はありますがむくみ、腫脹は
ありません。また色調も正常です。
以下は拡張したヒラメ筋内の静脈が高エコーを示した所見です。
これを長軸にて見ますと
あたかもうっ滞した拡張静脈のようです
しかし膝窩部で観察しますと
ここを圧迫しますと
このようにこの部位では正常のようです。
最近のエコー装置の進化によりこのような現象がしばしばみられる
とのことです。この方はD-ダイマーも正常でしたので少なくとも
急性のDVTの可能性は低いと判断しましたがしっかりと経過観察
が必要と思います。このように単純ではありませんので十分気を付けて
観察する必要がありますね。
参考図書
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