歩くと足が痛いという症状は多いですね。しかしちょっと休めば
また歩ける。という症状を間歇性跛行と言います。この症状は
下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)以外にも腰部脊柱管狭窄症、
慢性コンパートメント症候群、慢性静脈不全、そのほかにも
変形性関節症などで認められます。
この中で最近の高齢化により急増しているのがASOです。
これが疑われるときは下肢動脈触知、色調などを調べ
下肢上肢の血圧測定を行います。最近は便利な検査機器があり
簡単に測れます。当院でも使っている2代目の機械ですが
結果はこんな風に出ます。
重要なのはABIという数値です。以下実例です。
下肢の血圧/上肢の血圧正常値(ABI)は1.0~1.4ですがこの方は
右足が何と0.34、左足も0.66と重症でした。びっくりです。
ここで膝窩部をエコーで観察してみました。
すると
動脈内に大きなプラーク(コレステロールなどの油などの塊)
があるではないですか!!
上の動画ではプローブで圧迫してみますときれいな静脈はつぶれますが
動脈はつぶれません。しかしいかにも動脈の血流は心もとないです。
これを圧迫しないで見てみました。静脈は呼吸性に変動します。
どうでしょうか?動脈の中には大きなプラークがありその中を
かいくぐるように細々と血流が認められます。
正常では以前にも出しましたが動脈は元気よく拍動します。
重症の方はもちろん専門家にお任せするしかありません。
また血管再建を必要とする方はMRA,CTAの検査が必要です。
好発部位は腸骨動脈や大腿動脈ですがこのように膝窩動脈にも
所見のある方がいるということです。
そしてASOは全身の疾患です。たとえ軽症の方でも脳血管障害、
心血管の病気などになりやすいとされており適切な治療が
求められます。
糖尿病、加齢、脂質異常、喫煙、腎臓病などが危険因子です。
十分管理することが望まれます。
間欠性跛行は足の狭心症といわれており少しでも気になる方は
ご相談ください。
特にABI検査は有用です。当院では可能性が高いのにABIが
正常と出る方には軽い運動負荷後に再検査し見逃しを少なくするように
努力しています。そしてABI低値の方には危険因子の精査をお勧めし
症状に応じ基幹病院にご紹介させていただきます。
ASOは症状が軽くても生命予後があまりよくありません。5年間で20%
もの方がなくなるとの報告があります。そしてABI検査は非常に有用です
その数値の低下はそのまま生命リスクに関係するとされています。
当院では頸動脈エコーなどと合わせ動脈硬化の早期発見、および
将来の心血管、脳血管リスク低減に努めてまいります。
上記は頸動脈エコー画像です。
心臓から始まり心臓に帰る血液を結ぶ大事な血管です。
しっかり管理しましょう。
上の動画は私の心臓ですが異常を発見された方は至急ご連絡下さい。(^^;
最後までお読みいただきありがとうございました。