肩周辺、背部、上肢の痛み、しびれを発生する原因は多数あります。
典型的には頸椎椎間板ヘルニアが有名です。障害される神経根に
対応したしびれ範囲、疼痛範囲があり上肢下垂にて症状悪化を示す。
また当該神経根の頚部での圧痛、放散痛がみられるという特徴が
あります。
これに非常によく似た症状を引き起こす筋肉に棘下筋があります。
肩腱板を構成する筋肉の一つです。
下図に示す筋肉です。
黒丸がトリガーポイント、赤い部分が放散痛です。
痛みだけではなくしびれも出ることがあります。
頸椎椎間板ヘルニアとよく似ていますね。
しかし動作痛が少し違います。
このような姿勢をとると痛みが出ます。上腕二頭筋腱鞘炎でも
同様な痛みが出ますがトリガーポイントが異なります。
また棘下筋性筋膜障害では寝返り痛、患部を下にして寝ると痛みが発生
することも診断のヒントになります。
そして最終的な診断は棘下筋のエコー下筋膜リリースで症状改善を
確認することです。
ちなみに頚椎椎間板ヘルニアもエコー下神経根ブロックが診断の一助となり、
これもエコーの普及とともに安全性と確実性が高まっているといわれます。
トリガーポイント、関連痛に関しては多くの研究がなされており
予想外の疼痛部位が発生することもまれではありません。
治りにくい痛みは多いです。鎮痛剤の服用だけですませないで
動作痛、トリガーポイントの検索から発痛源が推定される場合もあり
以降の運動療法の方針決定にも重要なことですのでいろいろな
治療法の一つとして考えてもらえばいいと思います。
三角筋/棘下筋間のみならず棘下筋深層もリリースしたほうがいいかもしれません。
ただし棘下筋筋膜性疼痛は難治性のこともあり筋膜リリースのみではなく
対抗筋の肩甲下筋も含めた筋膜リリース、運動療法が特に重要と考えています。
何よりも痛みが起こらないように適切な運動、そして痛みが発生したら
我慢せず素早い診断、治療が重要です。
ヘルニアのような上肢のしびれや疼痛がこのような筋膜性疼痛(MPS)
かもしれません。治らない痛みもあきらめないでエコー下筋膜リリースは
比較的容易な診断、治療法ですので試されてはどうでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。