膝に水が溜まる。よく見つかる所見です。そして膝の裏にもよく水が溜まります。
膝の裏の違和感、腫瘤、曲げにくい、そして大きくなれば痛みが出ます。
ただし本当に水かその他の腫瘍か整形外科に受診しエコーやMRIで確認することを
お勧めします。まれには神経鞘腫などの腫瘍のこともあります。
鑑別はエコーで容易にわかるためその場で診断できます。
しかし原因は?そして治療は?悩ましい問題です。
まず自覚症状の強い方は治療対象です。
今までよく行われてきた治療は穿刺廃液・・・そうです抜くだけだったのです。
しかしこれではたちまち再発することも多かった。
そこで考えます。まずベーカー嚢腫とは?
腓腹筋内側頭、半膜様筋滑液包に水腫ができ、多くが関節包と交通している
という状態です。そして関節内の水が交通路を介し後方のベーカー嚢腫に流れ込み
貯留する。しかし交通路に弁構造があり嚢胞から関節内には水が戻らない。
そのためどんどん大きくなってしまうのです。
治療1:関節にたまる水の原因として半月板異常、リウマチその他の原因による滑膜炎、
骨軟骨異常、これらは運動療法、手術やお薬で対応、そして筋肉の拘縮、筋膜異常
これらでも関節に水が溜まるのです。
これは筋膜などへエコーガイド下注射や運動療法などで改善を目指します。
興味深い発表がありました。ベーカー嚢腫の鏡視下手術で好成績が得られたとの
報告です。
原因となる半月板などの処理、そしてベーカー嚢腫と関節腔の間の弁構造を取り除くため
交通路を拡大したとのことです。
理にかなった治療です。しかし関節水腫が半月板でなく筋肉や筋膜であったなら?
交通路を拡大し運動療法のみでも改善するはずです。
エコーガイド下注射のみでも手術と同様な効果がある人もいるのでは?
そして交通路を広げます
それから水腫をエコーガイド下に廃液します。
まだ十分な効果の立証はありませんが今後治療に難渋されている方に
手術よりはるかに侵襲の低いこの治療を試してもいいかもしれません。
上記は私の考察に基づく治療ですので納得いただける方のみご提案します。
最後までお読みいただきありがとうございました。