このブログでも何回か報告させていただきましたが深部静脈血栓症
いわゆるエコノミー症候群は予想以上に頻度が高くまた短期間で進行することも
ある疾患です。主に不動 糖尿病 悪性腫瘍 膠原病などにより発生しやすくなる
と言われておりますが、特に誘因の無い方も時にはいらっしゃいます。
整形外科的疾患は特に足関節周囲の骨折、靭帯損傷で ギプス固定の必要な場合もあります。
露出部は積極的に動かすように説明しておりますがそれでも動く範囲は限れれます。
当然深部静脈血栓症いわゆるDVTも発症しやすくなっております。
また下腿の浮腫(むくみ)が急速に出現する場合も注意が必要です。
しかし浮腫はDVTのみならず右心不全、腎機能低下、低蛋白血症、運動不足で腰掛が多い
などいろいろな原因で起こります。DVTも考えながらこれらにも注意します。
下大静脈の拡張、肝静脈の拡張が見られ浮腫の原因となりうる状態です。
次は心不全はあるものの右心負荷は無い方です。
静脈系のうっ滞は心臓が原因ではなさそうです。
ただしDVTでも広範囲肺塞栓による急性右心不全もあり得ます。
次はギプス固定後下腿浮腫があるものの当初膝窩静脈、ヒラメ静脈などの
拡張は見られなかったものの5日後には膝窩静脈の大きな血栓が確認できた
方です。
血栓により静脈血流はかなり悪くなっていました
緊急にD-ダイマーを計測し高値であったため基幹病院に精査依頼をお願いしました
あっという間に膝窩静脈より近位まで進展したようです。幸い血栓を溶かすお薬で
改善傾向になったことも確認できました。
一部途絶しているように見えますがプローブの角度にて開存していることは
確認できました。ただしばらくしっかりと経過観察が必要であることは
いうまでもありません。
私見ではありますが下肢のギプス固定を行う場合DVTのリスクが高い方は
2週間程度で血栓の有無を確認したほうがいいかもしれません。
そして忘れてはならないことは発生頻度は思ったより多くしかも中には
急速に悪化することがあるということは我々医療者も肝に銘じることである
と思います。最近は優れた飲み薬もあり早期発見で重症化が防げるのではないかと
思います。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。