肉離れは若年から中年までスポーツによって頻繁に起こる筋、筋膜、腱の損傷です。
しかし患者さんはいつ治るか?そして競技の復帰目安は?不安でいっぱいです。
我々医療者は適切なアドバイスを症状のみならず、画像所見も十分考慮して
説明しなければなりません。
日本整形外科学会の重症度鑑別法は以下の通り
一つの目安にはなりますがこれだけでは不十分です。
筋力の回復はもちろん再発予防も非常に重要です。
その他の分類では(奥野のMRIによるハムストリング評価)
1度:出血所見のみ 出血型
2度:筋腱移行部損傷型(特に筋膜損傷)
3度:筋腱移行部損傷型(断裂含む)
ハムストリング以外にももちろん応用できます。
スポーツ復帰目安は
1度:1~2週間
2度:5~6週間
3度:3か月以上
以下は大腿直筋3度(断裂)症例です。
健側との比較です。
著名に腫大した筋肉が明瞭にわかります。
筋肉の断裂部もわかりますね。当然3度であり手術も考慮されます。
しかし1度と2度では鑑別が難しいこともままあります。
次はふくらはぎ(腓腹筋)動画
筋肉の間に黒く映るのが出血、出血のみならず筋肉内にも正常の羽状構造が乱れており
肉離れ2度と判定できます。短期に復帰しますと再発が多いと言われています。
2度と思われる場合時期を見計らってMRI撮影も重要です。
次は1度と思われるふくらはぎ(腓腹筋)の肉離れです。
出血はありますが筋肉の羽状構造は乱れていません。
ただ出血が多いので1度としてはやや時間をかけて復帰を目指すべきでしょう。
エコーだけでわかりにくいこともままあり当院では適切な時期にMRIをお勧めしています。
このように肉離れは治療期間が大きく異なり初期より確かな診断そして復帰スケジュールの
策定を状況を見ながら判断していくことが重要です。
失敗の原因は(再発や痛みの遷延)1度と思っていたが2度だったとか1度でも出血が多かった
などが多いようです。超音波診断は欠かせません。
しかし超音波診断にも落とし穴があります。よく見えるエコー機械、プローブの選択(人によって
部位によって)が重要です。
当院では可能な限り諸検査のもと適切な治療を提案してまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。