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院長のブログ(2019年06月)

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以前にも報告した上腕骨近位端骨折は高齢者の転倒事故などによる

よく見かける外傷です。

治療は転位の大きなものは手術的治療が推奨されています。

当院にても同様な対処をさせていただいております。

しかし転位は大きくとも手術できない方、また手術は受けたくない方も

少なからずいらっしゃいます。

今回は大結節部が転位しいわゆる3パート型骨折で手術適応もある方です。

手術は受けたくないとの強い希望あり基幹病院よりご紹介がありました。

80歳男性

まず初診時レントゲン

痛み腫脹が強く定型的な石黒法(早期振り子運動)は困難でしたが

なるべく転位が進まないように振り子体操を少しずつ行っていただきました

3週間後レントゲン

幸い大きな転位なく骨癒合も確認できます。

しかしこの時点で

前方挙上40度、外転30度、伸展0度、外旋20度と高度の拘縮

これでは日常生活に支障がありすぎます。

リハビリでも痛みが強くなかなかうまくいきません。

しかし外傷後3~4週間では筋膜リリースにて癒着剥離が

有効なことがあります。特に後方の棘下筋/関節、肩甲骨の癒着は

症状悪化の一因です。

今回棘下筋、烏口上腕靭帯、小胸筋、三角筋下滑液包の液性リリースを

エコーガイド下に施行し(かなり除痛ができました)リハビリを行いました

2か月後肩エコー所見

骨片はあるものの腱板の腫脹は軽減しています。

そして運動域は

外転角など少しものたりませんが日常生活には痛みもなく満足

していただけました。

自分の考える上腕骨近位端の保存療法

1.転位の大きなものは可能ならば手術

手術できない時

2.転位を可能な限り小さくする(早期の十分な振り子運動)

3.可能な限り骨癒合を早く促す(早期の十分な振り子運動)

最後に適切な時期にエコー下筋膜リリース(癒着剥離)

これは非常に有効なこともありエコーガイド下注射に熟練した

医師が行えば即効性があることもあり是非試してみるべきと

思います。

全例このようにうまくいくとは思っておりません。

このような患者さんには時機を逸せず適切な治療を行うことが

重要と思われます。

療法士任せの治療のみではなく医師が治療に直接介入する

ことも大事ではないでしょうか?

注)当院では手術療法が一般的に推奨されている場合

手術をお勧めしています。

転位軽度、何らかの事情により手術できない方にこのような

治療法も提案させていただいております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

上肢のしびれや痛みは以前にもお話ししたように

頸椎症性神経根症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群

また棘下筋の関連痛にてよく起こります。

その他にも今日お話しする橈骨神経由来の痛みしびれが

あります。

橈骨神経は他の末梢神経と同様に知覚や運動に重要な働きをしています。

その走行は腋窩から上腕をグルーっと回って上腕骨に接している

部位があります。

この部位が腕枕などで圧迫されますと有名なsaturday night pulsy

と呼ばれる一夜にして発生する橈骨神経麻痺があります。

ところがこの部位に何らかの原因で

神経が発する異常信号から運動麻痺は軽度ですが疼痛及び手背の知覚麻痺

が表れあたかも頸椎由来の痛みと錯覚するような患者さんがみ

えます。注意深く観察しますと上腕外側部にあたりに

圧痛があることがあります。

上腕部の橈骨神経を超音波で観察します。

まず近位部ですがここも痛みの原因となります

もう少し遠位です。ここが今回問題の橈骨神経溝の付近となります

腕から手の放散痛あるも頸部はあまり痛くない。そして特に

この部位に圧痛があることが重要です。

橈骨神経をリリースすることにより症状改善すればこの部位の

障害であると推定できますね。

上肢の痛みを伴うしびれは意外に複雑です頸椎以外でも原因と

なる疾患があり詳細な身体所見の診察が重要であることは

言うまでもありません。

坐骨神経痛のような痛み、頚椎椎間板ヘルニアのような痛み

これらは原因が多岐にわたり複雑です。

最後までお読みいただきありがとうございました。