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院長のブログ(2019年08月)

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誰もが使う母指、手関節ですが使い過ぎにより腱鞘炎になることは

よく知られています。

代表的なものにはケルバン腱鞘炎があります。

もちろん局所安静や外用薬、注射そして難治性の方には手術療法があります。

しかしこれによく似ていますが少し近位に同にじような痛みがでることが

あります。

場所がやや近位で厳密には腱鞘炎ではありません

この部位は撓側手根伸筋腱と短母指伸筋、長母指外転筋が交差します

そして手首の使い過ぎなどにより摩擦にて炎症を起こす状態です。

この部分をエコーで見てみます。

エコープローブを上下に振ってみます。

(長,短)撓側手根伸筋と長母指外転筋が摩擦を起こす様子がよくわかります。

この部位は比較的炎症を起こすことが多く、痛みの他ぎしぎしと摩擦する

音もあります。

治療は原則的に局所安静、鎮痛剤、などですが症状に応じて注射もします。

この時注意することはなるべく腱の間に薬液を注射すると効果が大きい

と思われます。

再発予防に生活習慣の是正や前腕の筋肉は固くなりやすいので日ごろから

ストレッチなどを行うことが重要でしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

アキレス腱の痛みは一般の方からスポーツ選手まで

多くの方が悩まされることがある症状です。

大きく分けてアキレス腱炎(腱症)、アキレス腱周囲炎、

アキレス腱付着部炎があります。

この中で本日はアキレス腱実質が肥厚するアキレス腱炎

についてのお話です。

アキレス腱周囲炎と異なり足関節を底背屈すると痛みの場所が

移動します。

原因はオーバーユースなどによりアキレス腱に微小損傷が

起こり局所の繊維化そして周囲からの血管流入により炎症が

起こることもありますがアキレス腱周囲炎ほど局所熱感を

伴うことはあまりありません。

治療は腓腹筋、ヒラメ筋のストレッチ、ヒールカップ

(踵の挙上)などが推奨されています。

ところが難治性のアキレス腱炎の中に足底筋が痛みの

原因になっていることがあります。

さほど珍しくないようです。

足底筋の解剖

細い筋肉ですが膝裏からアキレス腱内側部に停止しています。

この部の痛みがある方はエコーで見つけやすい

(腱の太い方)ことが多いように思われます。

エコーで見ますと

ヒラメ筋内側にへばりついています。

尾側から頭側に観察しますと途中から腓腹筋ヒラメ筋の

筋間にサンドイッチされているのがわかります。

圧痛部位をリリースすることによりアキレス腱のみならず

ふくらはぎの痛みの改善することがあります。

リリース後

一部のアキレス腱炎は通常の保存療法で十分な

効果がありません。こういう場合足底筋の関与も

考えエコーにてしっかり確認しましょう。

足底筋リリースが効果をもたらすこともあり

痛みでお困りの方はお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

エコノミー症候群は新潟地震の際車中泊などで過ごされた

方に頻発し有名になりました。

状態としては深筋膜下(深い筋肉内)の静脈の血栓により

静脈還流障害が起こった状態です。特に下肢に頻発します。

下肢に発生すると約3%の方が肺に血栓塞栓を起こすと

言われています。その中には致死的な状態になることもあり

その診断は重要です。

症状はふくらはぎのむくみ、疼痛、違和感などが多いですが

末梢型の場合むくみがはっきりしないこともあります。

診断には問診(長期臥床、悪性腫瘍、糖尿病、骨折など)と

身体所見が重要ですが鑑別診断にベーカー嚢腫、肉離れ

軟部腫瘍など整形外科的疾患も多くエコー検査が

とても有用です。

実際の患者さんのエコー動画です。

中央の黒い血管(ヒラメ静脈)は圧迫してもつぶれません。

Dダイマー高値でした。

次の方も同じように静脈がつぶれませんそして中央の血管

拡張部には血栓も見られます。

ここにカラードップラーを乗せました

もやもやした血流が圧迫によって逆流しているのが

観察されました。

短軸での観察

圧迫をしてもヒラメ静脈は縮小しません

血管拡張、血栓、などが観察される場合当院ではDダイマーを

院内にて測定させていただき診断の補助にさせて

いただいております。

これらの所見が認められた時は患者様、家族に状態、

危険性をご説明し進展状態、併存合併症の検索のため

基幹病院にご紹介させて頂きます。

重篤な肺血栓塞栓症、慢性期の静脈不全の予防のためにも

少々お時間もかかりますがよろしくお願いいたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。