仙腸関節障害が腰痛、殿部痛の原因として認識されつつ
あります。しかし診断は思ったより難しく、周囲の発痛源と
区別する必要があります。
殿部、下肢痛は腰椎レベルの神経根はもとより大、中、小
殿筋、梨状筋などの筋その他多くの靭帯や上、中殿皮神経
など様々な原因があります。
長い間椅子に座れない、痛いほうを下にして眠れない、
歩き始めが特に痛い、朝起床時も痛みがひどいなど
比較的特徴的な症状から股関節や下肢に広がる痛み
もあり得ます。
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上の図のように仙腸関節近くで神経(中殿皮神経)も
靭帯を貫いていますね。そしてこの神経は仙腸関節にも
つながっています。
靭帯の上には強靭な筋肉も付着しており痛みを引き起こす
可能性は十分ありますね。
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治療はお薬や骨盤ベルト、リハビリ、ストレッチなど
様々です。
しかしこれらの治療が奏功しない場合は診断を兼ねて
注射をすることもあります。
この部分をエコーで見てみます。
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少し分かりにくいですが関節の入り口が見えます。
症状からだけでは関節が悪いのか、靭帯、神経、筋
が悪いのか区別が困難です。
よって注射も2種類あります。
まずは筋肉、靭帯部分のリリース。
多くはこれで良くなるようです。
しかし関節へのアプローチが時に必要となるようです。
上は関節内への注射ですがこの部位は非常に狭く注入困難な
方もいらっしゃいます。
軽症の方はまずは保存療法をお勧めしています。
しかし慢性痛が続く方や痛みが激しい方は注射療法も
必要となることがあります。
(当院では関節深部への注入はリスクが考えられるため
行っておりません)
まずは仙腸関節そのものが悪いのかあるいは近くの靭帯や
神経、筋肉が悪いのかそして腰椎そのものや他の疾患なのか
鑑別には熟練を要します。しかし一度ですぐ判明するとは
限りません。可能な限り正確な診断を目指しますが
治療を兼ねたエコー下注射が診断に必要になることもあり
ご了承よろしくお願いします。
最後までお読みいただきありがとうございました。